雪庇(せっぴ)は屋根の東面にできるから要注意~住んでから後悔しない雪国の家づくり~家の東面に住設機を設置すると雪庇落雪で雪害の恐れがあり♪

2022-03-07家と雪国の冬の暮らし,建築屋的な話新築住宅,設計,雪庇

雪庇(せっぴ)は屋根の東面に勝手に育つ。

屋根雪
屋根雪の巻き込み垂れ下がり

雪国での家づくりは
雪を知ること
冬を知ることは重要だ。

知らなければ冬に後悔することになる。
雪国育ちの人ですら
雪を知っているつもりでも
まさか
『こんなことになるとは知らなった』は
家づくりでは良くある。

営業・設計者のアドバイスが届かなかったり
そもそも無かったり。

家づくりは現場が始まる頃に
現場監督や現場サイドが問題に気づいても
既に手遅れ・・・なんてことがある。

現場監督が設計のチェックできる会社。
監督の声が図面に届く会社なら
事前に防ぐことも対策も可能。


もしくは営業・設計が現場レベル
(プロとしての施主目線…見た目のみの提案では無く)
提案できるなら心強いだろう。

冬のこと
雪のことを経験し熟知したベテランなら、なお良♪

施主も
プロでも見落としがちな
雪庇のお話。

雪庇とは

東面の雪庇軒の出750です、雪庇は…

雪国では冬期間
屋根に雪が積もる。

雪が積もり続けると風下方向に雪のかたまりが伸びていく。
その雪のかたまりは屋根からせり出し、大きくなり巻き出し垂れさがる。

それを雪庇という。
私が住む地域では家の東面に出来る。
冬季間は南西から北東にむかい風が吹く為、北東寄りに雪庇が出来る。

地域や周辺環境で多少ずれるかもしれないが
東面が多いだろう。

雪庇が落ちる東面で気を付ける家のこと

注意喚起

雪庇は吹雪きが起きるたびに伸びて大きくなる。
そして、暖気(気温が上がる)になると自然と落ちる。
大きくなった雪庇が落ちる様はとても怖い。

2階建ての住宅は軒先高さで7m程になる。
その高さから落ちる雪は
落ちた衝撃で締め固まる。
片付けるのも困難だ。

雪庇が落ちる面の設置物等の注意も必要。
落雪の影響で故障や破損がありえる為だ。
室外機、プロパンガス、住宅設備機器、サッシや外壁材、カーポートや車、外部水栓など…
設備機器類ならまだ、取り換えや補修で済む。

それ以上に怖いのは雪庇が落ちる面が
人の外部動線になっている場合。

家族の玄関から外部への動線…
具体的には

雪庇が落ちる面に玄関がある場合。
玄関は配達関連の人や来客者がおとずれる。
予想も注意もしてない人達だろう。
訪問したら頭上から雪の塊が落ちてくるとは思わない。

大けがしたら大変な騒ぎだ。
誰も見てないウチに大きな雪庇の下敷き。なんて笑えない。
最悪なこともあり得る。

そして意外と見られるのが
せり出した雪庇が道路や通路に落ちる状態。

ありえない話だがある。
落雪が繰り返し雪片付けをしないと道路や歩行者に支障がでる場合もある。

家づくりをイメージしている時には気にもしない些細なことかも。


しかし


雪国では重要な家づくりの要素だ。


冬の雪のことは
住んでみると危険や処理の手間を経験する。
『こんなはずでは…知らなかった…誰もアドバイスくれなかった…』
ながい4ヵ月。
雪国では冬に快適に過ごせるかは重要。

そして

この大事な冬のこと、雪のことを軽視している住宅会社は…少なからずある。

経験不足か
知識不足か
それとも
知っていて引き渡し後は
我関せずなのか?

同業としては怖いというか悲しい話。
工事中の現場を見ていると。

雪庇の対策

ポイント

この記事を読んでいるあなたが
夢のマイホームを計画していて
施工地が雪の降る地域なら
プランニングの段階で雪庇をことを考慮した家づくりは必須。

既に住んでいる住宅で雪庇に困っているなら
屋根形状や住んでいる雪質にもよるが
後からの施工で雪庇を出来にくくする方法もある。
電気や熱線を設置し雪を解かす方法や
部材を設置して雪庇自体を出来なくする方法もある。
これがベストとは言えない。
なぜならば
雪質と屋根形状で施工可能かどうかも変わる。

雪庇対策の施工が出来ないなら
雪庇が出来るたびに
コツコツと雪庇落としの道具で処理することをすすめる。
柄がながく6M程度のスコップのようなものや
多種多様な製品が豊富にある。

雪庇のことを熟知しても
その面に玄関を作る場合もある。
住宅の配置や道路の関係で。
その場合は
雪庇処理がしやすい仕掛けを相談するとよいね。
外部通路の動線位置や下屋根を作るなど手段は様々ある。

いずれにしても雪庇は出来たら
まめに処理するのが
短時間で済むし作業も楽。
時間がたった雪庇は硬くなり処理も大変。
ながい柄の雪庇処理道具は軽くて丈夫だが
強い力を掛けると部材が外れる場合もあり
2次災害の危険もある。

私は経験している。
雪庇道具の先端1Mが抜けて固い雪に刺さって取れなくなった。
地上7mの高さに雪庇道具がぶら下がっているんだよ。
アルミのパイプだよ。
落ちてきて刺さったらホラー映画だ。

雪庇落とし屋根雪下ろしは安全対策した安全作業で。
また一人での作業はアクシデントが起きた場合に
対応が遅くなる為、複数でおこないましょ。
もしくは声掛けしてから行いましょう。
毎シーズン何かしらの事故は起きていますから。


まとめ

雪の足跡

雪国の家の屋根東面に
吹雪の度に勝手に育つ!?
雪庇のことを網羅しました。

1年12ヵ月のうち4ヵ月間の冬の季節。
1年の3分の1は雪との暮らしな雪国の家づくり。

その冬を快適に暮らせるかどうかは、とても重要だ。
家づくりのプロとして
建築屋として
欠かせないアドバイスがある。

雪庇の問題やトラブルは今に始まったモノではない。
昔からある問題で監督や業者は知っている。
もちろん
営業・設計…そして施主も
雪国育ちなら知っているはずなんだよ。
家づくりの楽しさや憧れが先行して見落としてしまう。

30年近い経験で
決まった事柄や設備の配置の変更
追加工事での補強等は何度もある。
それらすべて、
施主が知らないこと
現状気付いていない未来の不安要素を明確にして
『プロとしての改善策はコレです』と
現状よりも明るいの未来の提案だ。

喜んでいる女性

現場監督って
図面の家が完成した際により良くするには?と考える。
現場の職人も同じ。
現実的な考えの人間が多いんだよね。

雪国で憧れの家づくりを計画している人が
少しでも快適な冬の生活をおくれるように。

冬はつららのことも気に掛ける必要がある。
つららの記事はこちらより♪

おしまい