雪国の住宅はなぜ四角いのか?不思議な光景の四角い理由の話。

2021-11-14家づくりのetc,建築屋的な話

雪国では四角い家が多い。
屋根が平に見えるから四角く見えるのだ。

『フラットルーフ』・『無落雪屋根』と呼ばれる形状だ。
総じて屋根に降った雪が落ちない、春まで雪を屋根に乗せておくタイプだ。

このタイプは雪が降らない地域ではなじみがない。
雪国特有の文化といえる。
北関東等雪が降る地域でも無落雪住宅の経験のない工務店に
施工方法やおさまりをアドバイスしたことが何度かある。


家づくりのプロでも経験が無い
特殊な屋根の形状だ。

雪国で家を建てるなら知ってほしい雪とのくらし。
12ヵ月の内の4ヵ月は雪が降り白い世界になる地域。

そんな雪国の家の屋根と雪の話。

雪国の家づくりにはかかせない対策のこと

雪国で家を建てるなら雪の事は無視できない。
なんせ4か月間雪が降る。
地域によってはもっと降る。

雪が降る度の除雪は重労働だ。
毎日、敷地内の雪を除雪しなければ生活に支障がでる。
屋根からの落雪があると大変。
高い場所から落ちる雪は、
落ちた瞬間に締まり人力では片付けが困難だ。
屋根面積が大きければ大きい程、落ちる雪も増える。
屋根からの落雪対策として無落雪屋根がある。

無落雪屋根とは?

一般的に屋根は三角屋根の切妻など勾配がある屋根をイメージする。
それに対して無落雪屋根は平な屋根だ。
読んで字の如く雪を落とさない屋根だ。


以前は外観上は平に見えるが、建物中心部や片側にゆるい勾配を設け樋を設け雪解け水を処理するタイプが主流だった。
(スノーダクトとも呼ばれる)
電熱線を設け寒気による凍結防止を施す仕組みもある。

最近はフラットルーフと呼ばれる
勾配がほとんどない形状が主流になっている。


無落雪屋根は関わる職種も多くコスト高になる。
その構造ゆえのデメリット(漏水・凍結)も懸念材料となる。
ここ数年の認識では無落雪屋根=フラットルーフが一般的だ。

フラットルーフは従来の無落雪屋根に比べ雪が積もらない。
いずれは積もるのだが、初期の段階では積もりにくい。
風に乗り吹き飛んでいくイメージ。
(無落雪屋根には立ち上がりがあり雪が積もる形状)
配水処理の為の工事もなく、屋根の漏水の可能性も少なくなる。
従来の無落雪屋根に比べ安価。

上記の理由でフラットルーフでの施工が増えている。

悩みどころは機能を取るのか意匠性をとるのか

家の意匠性をこだわるなら三角屋根の大きな屋根は重要だ。
(見た目のカッコ良さにこだわりあるなら)

無落雪屋根を住宅に取り入れると冬期間の屋根からの落雪の不安や
落雪処理からは解放される。

雪国の住宅建築ではココが悩ましい。
除雪の重労働を嫌うかマイホームの見た目にこだわるかという葛藤。

経験では圧倒的に皆、除雪をきらいフラットルーフを採用する。
それだけ雪は家づくりでは重要。

プロとしては屋根の軒は出した方が良いのでは?
といつも思う。
住宅にとって軒は家を守る傘だ。
事実、軒の出が大きい家の方が外壁など劣化が少ない。


フラットルーフで軒を出すと
『なんかカッコ悪い』
なんて意見もある。
好みとの天秤だ。

降雪量が少ない地域では三角屋根の落雪屋根の形を取りつつ
雪を落とさない仕掛けもある。
雪止めの取り付け。
アスファルトシングルのような表面にすべり止めが加工されているもの。
落雪タイプでの無落雪屋根もある。


ただし、100%安心とは言えない。
『例年では大丈夫』は、
もはや根拠とは言えない世の中だ。

雪国独自の家づくりの常識

屋根以外でも雪国独自の家づくりの常識もある。


屋根の北東部分は雪庇と言われる雪のかたまりが出来る。
雪庇は吹雪く程に大きくなり暖気や振動で落ちる。
真下に人が居る場合危険だ。
玄関の位置や人の通り道。
エアコンの室外機や外水道の設置には気を付ける必要がある。
雪庇などの落雪による破損の恐れがある為だ。


雪囲いという窓ガラスへの対策も雪国独自のものだ。

雪国では雨どいの設置の習慣がない。
積雪・落雪による破損が多い為。
出入り口等、支障がある部位のみ設置というのが多い。
雨どいの落雪による破損、凍結による破損の補修は春の風物詩ともいえる。

外壁材の土台水切り近辺は下地補強が必要。
これは落雪による外壁の破損防止が目的。

家の周辺は土台水切り以上に雪を高くしない。
通気工法の入り口を塞ぐことは良くない。
外壁仕上げの種類に関わらず雪で覆われるのは外壁材の劣化につながる。

家の配置は住宅周辺の除雪の通路の確保が必要。
敷地内に雪を集める場所も無くてはならない。
敷地以外に排雪処理の場所があるなら理想。

まとめ

雪国では良く見かける四角い家の解説しました。


重労働で不安の種である屋根からの落雪対策。
雪国独自の家づくりの文化。
快適にくらす為に
ながい年月をかけて少しづつ変化してきた。
生物の進化のように。

雪国では意匠性よりも機能性を屋根に求ることが多い。
それだけ雪のことは大事です。

住宅のイメージを膨らませている方へ
冬の時期以外で住宅の打ち合わせをしていると
見逃しがちな雪のこと。
シーズンになってから後悔しないよう頭の片隅へ。


四角い家はスタイリッシュでスマートというイメージがある。
四角い家ばかり並んで建っているのは地元の人間以外には
不思議な光景に見えるのかもしれない。
大型分譲地では四角い家だらけです。

理由は雪片付けの軽減。
知恵をだして改善を繰り返してきた現在の雪国の家の主流。

おわり

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